育児ストレスの要因

育児ストレスを引き起こす要因は専業主婦と就業主婦では大きく違います。専業主婦は、家では夫が不在であることが多く1人で子どもと向き合わねばならず、加えて家事をする必要もありますから、息抜きができません。子どもが学校に入れば自由な時間が少しできて、外出して友人と過ごすことも可能にはなりますが、学校に行くまではほぼつきっきりで子どもの面倒に追われることが多いでしょう。

夫は外で働くことで家族を養わねばなりませんので、妻には家をしっかり守ってもらい、子育てに専念して欲しいと願い、おそらく周囲の目もそのように思っているでしょう。しかし、夫は仕事中に休憩があり、仕事終わりに飲みに行くなどの気分転換ができる一方で、妻にはそれが叶いません。また育児について、近隣の子どもと自分の子どもを比べてしまったり、不安に感じて育児に関する情報を手当たり次第調べた結果、かえって不安な気持ちを助長させてしまうケースも少なくありません。「自分の育児が間違っていないか」という漠然とした不安は、育児ストレスの一因となります。

次に就業主婦ですが、専業主婦に比べ外出時間もあり、また共働きということで夫から育児の分担の協力を得られやすいことも相まって、息抜きができていいのではと思われがちですが、先述している通りに「母親は家にいて育児をすることが仕事」「子どもの傍にいてあげないのは可哀想」などといった周囲の目を気にしたり、職場ではフルタイムで働くことができないために、それが周囲に気を遣わせたり負担をかけたりすることで、ストレスとなってしまうケースがあります。

育児ストレス問題

児童虐待とは今の日本では決して珍しくない現実にあることです。そして、その原因の多くは母親が育児にストレスを感じて、怒りや不満を子どもにぶつける、それが暴力や虐待へと発展してしまうケースが珍しくありません。ニュースで悲しい児童虐待のことを知ると、多くの人は母親に原因があるのではと責めますが、果たしてそれだけで片付けてしまってよいのだろうか?という論議もあるのです。

責任能力のないまま出産してしまった女性に対する風当たりが強いのは事実ですが、誰もが自信満々に子どもを産むでしょうか。おそらく大抵の女性は出産時に大きな不安を抱えているはずです。不安なスタートからうまく切り抜けて成長できる人と、つまずいたままストレスを抱え込み、最終的に虐待へと発展してしまう人、これは紙一重なことでしょう。何もないところからいきなり虐待は生まれず、おそらくそこまでに至った経緯が必ずあるはずです。

育児ストレス問題は、なぜ引き起こされるのでしょう。それは昔から今でも根底に流れる「母親はこうであるべきだ」という理想像にうまく適応できないと「母親が悪い」とされてしまう風潮が、いまだに根強いことも一因としてあるのではないでしょうか。たとえば「育児は母親がするもの」「子どもをおいて働きに出るなんて子どもが可哀想」という風潮は、今のライフスタイルの多様化にはそぐわない考え方ではありますが、現実に根強く残っていて、その狭間で悩む女性は育児ストレスを抱えやすくなりがちです。育児ストレスは一概に母親だけの問題ではなく、取り巻く環境にも原因があることを、多くの人が周知しなければ解決できない問題です。